【2026.6.28】離婚時の『財産分与』はなぜ揉めるのか|家庭裁判所が「夫婦で稼いだ資産」をどう分ける法律を解説

家族法・相続・離婚
神崎教授
神崎教授
蓮くん、今日は夫婦が離婚するときに必ず問題になる「財産分与」の話をしようと思ってね。実はこれ、簡単に見えるけど、法律と現実のズレが大きい分野なんだ。

離婚時の「財産分与」って何が揉めるのか

夫婦が離婚するとき、結婚中に築いた財産をどう分けるかという問題が必ず出てくる。これを財産分与という。日本の法律では、民法第768条で「夫婦の一方が婚姻中に得た財産は、その名義がどちらであっても、夫婦の共有に属する」と定めている。ここがポイントなんだ。

たとえば、夫が仕事をしてローンで家を買った場合、その家は法律的には「夫の単独所有」に見える。でも実際には、妻が家事や育児で家庭を支えていたから、妻にも権利がある、という考え方なんだ。これが「寄与度」という考え方で、家庭裁判所はこれを判断しなくちゃいけない。

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家庭裁判所が財産分与をどう決めるか

実際の離婚件数は年間約20万件だが、そのうち財産分与で家庭裁判所の調停・審判が必要になるのは全体の約15~20%程度だ。つまり、ほとんどの夫婦は協議(話し合い)で決めているんだ。

でも決まらない場合、家庭裁判所は以下の基準で判断する。

① 対象になる財産の確定:結婚中に夫婦で協力して築いた財産かどうか。一方が相続で受け取った遺産や、結婚前から持っていた財産は除外される。

② 各自の寄与度の評価:妻が専業主婦で家事や育児をしていた場合、その価値をどう数字化するかがポイントになる。家庭裁判所は通常、夫婦の共有部分を50%ずつ分けることが多いが、一方が明らかに大きく貢献していた場合は調整される。

③ 婚姻期間と現在の経済状況:長い結婚生活ほど、お互いの寄与が大きいと評価される傾向がある。

蓮
え、でも妻が専業主婦でしたら、仕事をしていなかったわけじゃないですか。それなのに50%貰える?

「家事労働」がなぜ経済価値として認められるのか

いい質問だね。実は日本の法律では、昭和50年代の最高裁判所の判決で、「妻が家事や育児を担当することで、夫が仕事に集中できた」という理由から、それは結婚中の財産形成に「間接的に貢献」していると評価されたんだ。つまり、給料をもらわなくても、法律的には「労働」として数えられるわけ。

ただし、ここには前提条件がある。「夫婦が協力して財産を築く合意」があったか、という点だ。もし妻が外で稼いでいて、かつ家事育児もしていた場合は、「二重に貢献している」と評価されることもある。逆に、結婚生活が短かったり、夫婦関係の破綻が一方の浪費が原因だった場合は、寄与度が減額されることもある。

家庭裁判所の調停では、こうした細かい事情を聞き取ることで、納得できる分け方を探ろうとしているんだ。ただし、お互いが「自分のほうが貢献した」と主張すれば、話は長引く。そこで多くの場合、「とりあえず50%ずつ」という現実的な落としどころが使われているわけだ。

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「年金分割」という仕組みもある

もう一つ重要な制度が年金分割だ。これは2007年から導入された比較的新しい制度で、離婚時に夫婦が厚生年金の保険料納付記録を分割できるというもの。具体的には、婚姻期間中に夫が納めた厚生年金の保険料の一部を、妻の年金記録に移すことができる。

なぜこんな制度があるかというと、結婚中に専業主婦だった妻は、自分で厚生年金に入らないから、将来の年金額が少なくなってしまう。そのため、夫が納めた分の一部を移してあげようということなんだ。ただし対象は厚生年金のみで、国民年金や自営業者の場合は適用されない。

今日の教授まとめ

離婚時の財産分与は、法律的には「夫婦が協力して築いた共有資産」という考え方が基本だ。専業主婦の家事労働も経済価値として認められ、通常は50%ずつ分けられる。ただし個別の事情(婚姻期間、寄与度、浪費の有無など)で調整されるため、実際には家庭裁判所の判断が必要になることが多い。離婚を考えるなら、まず協議で話し合い、決まらなければ家庭裁判所の調停を利用するのが現実的なんだ。

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神崎教授
神崎教授
離婚は人生の大事な決断だからね。感情だけじゃなく、法律知識を持つことで、自分と子どもの未来を守ることができる。弁護士や調停委員を上手く活用してほしいんだ。

📖 今日の法律用語:財産分与(ざいさんぶんよ)=夫婦が離婚するとき、結婚中に築いた共有資産を分けること。民法768条で定められており、一方の寄与度に応じて配分される。

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