【2026.4.19】「基本的人権は侵せない」って本当?憲法が保障する権利の限界を解説

憲法・基本的人権
神崎教授
神崎教授
蓮くん、今日は憲法が保障する基本的人権について考えてみようか。「侵すことができない」って本当に絶対なのか、実はそうじゃないんだよ。

憲法が約束する「最高の価値」と現実のズレ

日本国憲法第97条には「この憲法が国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永遠の権利として信託されたものである。」と書かれているんだ。これは実に力強い宣言だよね。でも、読者の皆さんが「じゃあ、自分の権利は絶対に制限されないんだ」と考えると、それは甘いんだ。

実は、基本的人権にも「公共の福祉」という限界がある。憲法第12条をよく読むと「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」と書かれているんだが、さらに「何人も、これらの権利を濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」とあるんだ。つまり、権利って無制限じゃなくて、社会全体の利益とのバランスを取って行使しなきゃいけないってわけだ。

constitution law justice court
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蓮
でも教授、「侵すことのできない」って書いてあるのに「公共の福祉で制限できる」って、矛盾じゃないですか?

「公共の福祉」という最大の制限ルール

蓮がいいところに気づいたね。確かに矛盾に見えるんだ。でも、法律の歴史を振り返るとこれは必然だったんだ。戦前の日本では、政府が「公共の福祉」という名目で人権をほぼ無制限に制限してしまった。言論の自由、信教の自由、集会の自由——全部が国家権力に押さえ込まれたんだ。その反省から、憲法は「公共の福祉」を明記しながらも、それを簡単に使わせないようにしたわけだ。

最高裁判所の判例では、「公共の福祉」による制限は必要最小限でなければならないとされている。例えば、新聞社の言論の自由を制限する場合でも、その制限が「本当に必要か」「他の方法はないか」を厳しくチェックするんだ。これを過度制限禁止の原則比例原則と呼ぶんだが、国家権力の恣意的な制限を防ぐための防波堤になっているわけだ。

具体例:表現の自由 vs 名誉毀損

実際の事件で考えてみよう。SNSで誰かが「あの人は詐欺師だ」と言いふらしたとしよう。これは表現の自由(憲法第21条)に該当するが、その相手の名誉権も人権なんだ。どちらも基本的人権なのに、どちらが優先されるのか?

法律では「公共の利益に関する重要な情報なら、表現の自由が優先される傾向」にある。ただし「事実と異なる悪質なデマ」だったら、名誉毀損で責任を追わされる可能性があるんだ。民法第723条で「他人の名誉を傷つけた者は、損害賠償責任を負う」と書かれているんだが、これが表現の自由とぶつかったとき、判例では「事実であることを証明できれば、違法性がない」とされているんだ。

神崎教授
神崎教授
つまり、人権同士が衝突したとき、どちらが「より重要か」を天秤にかけるのが「公共の福祉」による調整だってわけだ。すべての人権が平等に保障されるわけじゃなくて、状況に応じてバランスを取る——これが現実なんだ。

立憲主義の本質:国家権力の制限

ここで大切な概念が出てくるんだ。それが立憲主義だよ。立憲主義ってのは、国家権力を憲法で制限して、国民の人権を守ろうという考え方なんだ。だから、憲法は「国民ができることを書く」んじゃなくて、「国家(政府)ができないことを書く」フォーマットなんだ。

例えば、憲法第19条は「思想及び良心の自由は、侵してはならない。」と書かれているんだが、これは「国民よ、自由に思想を持ちなさい」じゃなくて「国家よ、国民の思想を侵すな」という国家への縛りなんだ。言い換えれば、基本的人権は「政府が勝手に奪うことはできない」という防盾なんだ。ただし、その防盾にも「公共の福祉」という例外があるってわけだ。

今日の教授まとめ

憲法が保障する基本的人権は「侵すことのできない」と謳われているが、実際には「公共の福祉」という制限がある。ここで大切なのは、その制限が「必要最小限」であり、国家権力の恣意性をチェックしなければならないということだ。人権同士が衝突したとき、どちらを優先させるかは、具体的な状況や社会的影響を踏まえて判断されるんだ。これが立憲主義の真髄——国民を守るための国家権力への枷なんだよ。

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蓮
つまり、自分の権利も「社会全体のバランス」を考えながら使わないと、法的なトラブルになるってことですね!
神崎教授
神崎教授
そういうことだ。権利は自分だけのものじゃなくて、社会全体とのバランスを取るもんなんだよ。朝は時間ないから、この辺で急いで出かけてくれ。電車の中でも民法の参考書を読むんじゃないぞ!

📖 今日の法律用語:公共の福祉=個人の基本的人権を制限する根拠となる原則。国家権力が国民の人権を侵すときは、社会全体の利益のためにその制限が必要最小限であることが要求される。

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