【2026.4.15】相続争いが絶えないワケ 民法改正で「遺留分」の仕組みはどう変わる?

家族法・相続・離婚
神崎教授
神崎教授
蓮君、きょうのテーマは相続だ。「遺留分」という仕組みをめぐって、民法がこの春から大きく変わるんだよ。相続トラブルを防ぐための改正なんだが、実はこれが複雑なんだ。一緒に見てみようか。

相続争いの背景にある「不公平」の問題

相続は家族内で最もお金が動く場面だ。被相続人(亡くなった人)が遺言で「長男に全財産をやる」と書けば、他の相続人はどうなるのか——これが相続争いの根っこだ。民法900条以下の相続編には、この問題に対する古い仕組みが残っていた。相続人には遺留分(いりゅうぶん)という、被相続人がどんなに遺言で差別しても、最低限もらえる権利があるんだよ。具体的には、配偶者は法定相続分の1/2、子どもは1/2がそれぞれの遺留分だ。

ただ問題は、この権利を主張するのに5年の時間制限があり、その間に「遺留分侵害額請求」という複雑な手続きが必要だったこと。多くの人が権利の存在を知らないまま、時間切れになってしまっていたんだ。

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2026年改正のポイント:「現金化」義務が新しくなる

この春の民法改正で、何が変わったのか。大きな変化は遺留分の支払い方が「現金一括払い」に統一されるという点だ。従来は「相続財産そのもの」を分け合うことが前提だったが、改正後は相続人が遺留分の現金化を求めたら、他の相続人は

蓮
あ、じゃあ実家の農地を長男が相続する場合、他の子どもたちに「遺留分をください」って言われたら、長男が1年以内に現金を用意しないといけないってことですか?

時間制限と「配偶者居住権」の新しい位置づけ

そうだ。ただし例外がある。配偶者は「配偶者居住権」という新しい権利が2020年に導入され、これが遺留分にも影響しているんだ。配偶者は長年住んでいた家に、相続後も無償で住む権利が得られる。その代わり、遺留分の計算では「その家の価値」の一部が控除される。

もう一つ重要な変化が請求期限が「5年」から「1年」に短縮される点だ(正確には、知ってから1年、または相続開始から3年で消滅)。これは権利保護と紛争解決のバランスを考えた改正で、早めに争点をはっきりさせようという意思がある。

離婚との関係:元配偶者には遺留分がない

ちなみに相続と離婚の関係も大事なポイントだ。離婚した元配偶者には遺留分はない。でも「事実婚(内縁)」の場合はどうか——この問題はまだ判例が分かれているんだ。最高裁判所も「内縁配偶者に相続権はない」という基本的な判断を示しているが、遺留分という新しい権利形態でも同じかは、今後の訴訟で決まっていく可能性がある。

今日の教授まとめ

相続の遺留分制度は、「家族内の不公平をどこまで認めるか」という根本的な問いかけだ。改正で現金化と時間制限が明確になったことで、トラブルの「早期解決」が目指されている。ただし現実には、農地や事業用資産の現金化は簡単ではない。法律が変わっても、「家族の話し合い」の大切さは変わらないんだよ。

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神崎教授
神崎教授
そういえば蓮君、遺留分の改正を「配偶者居住権」と一緒に学ぶと、相続法の歴史が10年で大きく変わった実感がわくと思うよ。つまり、法律も家族のありようとともに進化するってわけだ。

📖 今日の法律用語:遺留分(いりゅうぶん)=被相続人の遺言によってどんなに差別されても、一定の相続人が最低限相続できる権利のこと。配偶者や子どもが対象で、改正により現金一括払いが原則になった。

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